八丁ファーム

八丁の湯の自家菜園
畑からお膳へ、産地直送のとれたて

旅館という、土地に生かされ、土地を生かす特別な空間で文字通りの「地」の味をお客様へお届けしたい ――
2021年、八丁ファームはそんな想いから誕生しました

育てたのは野菜…気付けば食材への愛を育んでいました


手を借り、知恵を集めて始まった自然豊かな矢板での畑づくり

きっかけは2021年。定年退職を迎える知り合いの方が、このままでは耕作放棄地になるかもしれないからと、ご自身の畑を一緒にやりませんかと、お声がけいただいたのが始まりです。畑があるのは矢板市を流れる荒川流域。荒川は那珂川水系に合流する一級河川で、上流部は日光国立公園、那珂川合流部も県立自然公園の指定地域内で、周囲には緑豊かな自然が広がっています。
実は畑を持つことは八丁の湯の長年の夢でした。なぜなら、土地に生かされた宿で、本物の「地」の味をお客様にお届けしたいと思っていたのです。仕込みや仕入れの隙間時間に、片道2時間の道のりを経て農園に行くことは決して容易ではありませんが、それでも、土に触れ、野菜の成長を感じ、お客様の「美味しい」の顔が頭に浮かんだ時は、やっぱり心がほころぶものです。いまは知り合いの方の手と知恵をお借りして、約200坪の広さできゅうり、ナス、トマト、じゃがいも、玉ねぎ、にんじん、キャベツ、ごぼう、里芋、さつまいも、白菜、サニーレタスなど、年間20種類程の作物を育てています。


玉ばあ、談話その1

「お芋類がね、ほんとにすごくすごくおいしい。よそのものが食べられないくらい。
大根を抜いても土がつかないほど、肌が綺麗。秋の大根なんかは特にいいの。肌質がきめ細やかで。」

とびきり一流な食材たちに料理人の腕を試される日々


砂質の土壌が育む、八丁ファームの“美”野菜たち

八丁の湯の社長やスタッフとともに、畑を手伝ってくださっているのは、矢板市に隣接する塩谷町玉生(たまにゅう)地区に住んでいる農家のおばあちゃん、通称 “玉ばあ”。玉ばあは、八丁ファームで育てた野菜の綺麗さ、おいしさを絶賛しています。 その理由は土壌にあります。ファームのある荒川周辺は、河岸ならではの砂質土壌。水はけや通気性に優れた砂質土壌は土が下層まで柔らかいため、深く根を張る根菜類の栽培に適しています。また、さまざまな種類のミネラル成分も豊富なため、おいしい野菜ができるのです。八丁の湯ではその食材本来の瑞々しさを、甘さを、彩りを、お楽しみいただけるような創作料理を心がけています。


玉ばあ、談話その2

「農薬を使うと、やっぱりおいしくないの。ここでは農薬を使わないかわりに堆肥をいっぱいあげる。
作物自体に力があって、勢いよくグングン育つと虫も寄りつけないから。」

大切なお客様の“一部”になるものだからこそ


自然本来の力を引き出す、無農薬栽培

“地”の味をお客様にそのまま楽しんでいただくために。また自然に余計な負荷をかけないために。八丁ファームでは、すべての野菜を無農薬栽培で育てています。作物自体がすくすくと健康に育つ環境こそが、病気や害虫を防ぐ対策になることを、これまでの経験で感じているからです。土は本当に繊細で正直な生きもの。土壌の個性や状態を知ることで、私たちの暮らす栃木の魅力にあらためて気付くことも少なくありません。 ファームの周囲は自然が豊かで、ここの野菜のおいしさをよく知っている動物たちに、収穫直前のものを荒らされたり、横取りされたりすることもしばしば。作物を育てることは、私たちを含むさまざまないのちの繋がりを身をもって感じるとともに、想像以上の苦労の連続です。いちねん、いちねん、収量も見栄えも予測不可能ですが、それもまた自然と八丁の湯との、しあわせな共同作業だと思っています。


この豪快さを、ときには笑ってほしい


風味や歯ごたえ、みずみずしさの違いを感じてください

八丁の湯では愛情いっぱいに育てた新鮮な野菜を、料理長が心を込めた季節のお料理でお客様にお届けしています。例えば、ご夕食の鴨鍋やカフェメニューのピザに一年を通じて使用しているサニーレタスは、すべてファーム直送の自家製。パリッとした、みずみずしさの違いをぜひお楽しみください。 収穫量が少しずつ安定してきたら今後は館内での産直野菜の販売をはじめ、目の前を流れる鬼怒川源流で冷やした夏のウェルカムきゅうりや、囲炉裏焼きで楽しむ冬の里芋田楽サービスなど、お客様に喜んでいただける八丁の湯らしいおもてなしにも力をいれていきたいと、スタッフみんなでアイデアを出しあっています。お客様が街にお帰りになったあと、「八丁のあの野菜料理、おいしかったね」と思い出していただける、そんな野菜が主役になるお料理も近い将来、みなさまにお届けできたらと思います。


「八丁の湯のスタッフみんなが愛を込めて育てた、
味自慢のお野菜をぜひご堪能ください。」